LinkedInでは投稿よりコメントが重要になった理由

2026年8月9日、仕事とビジネス上のつながりのためのSNSであるLinkedInが、投稿の下に並ぶコメントの順番を変えた。以前は時系列だった。先に書いた人が上に来る。今は読者一人ひとりに、その人の職業上の関心、つながり、アクティビティに合わせて組み立てたスレッドが表示される。自分自身やB2B企業、つまり企業向けに販売するビジネスを売り込んでいる人にとって、これが意味することはシンプルだ。他人の投稿に書いた気の利いたコメントが、投稿とは別に、それ自体でインプレッションを稼ぐようになった。以下では、何が変わったのか、LinkedInがなぜそうしたのか、そしてChatGPTがどう関係するのかを整理する。
LinkedInは投稿のコメントをどう並べるようになったか
この変更に最初に気づいたのは、クリエイターエコノミーの専門家Lindsey Gambleで、彼はThreadsでそれを投稿した。その後、SNS業界メディアのSocial Media Todayが詳しく取り上げた。2026年9月10日には、エージェンシーのFINN Partnersが月次まとめでこのニュースを紹介している。LinkedInの説明によると、投稿の下には特定の個人に合ったコメントが表示される。選ぶ際にプラットフォームが見るのは、その人の職業上の関心、つながり、そして普段どんなものに反応しているかだ。
実際には、2人が同じ投稿を開いても、上位に出るコメントは違う。マーケターには自分のネットワークにいるマーケターの返信が、財務担当者には財務担当者の返信が見える。"最初の10分以内に書け"というルールはもう通用しない。上に来るのは、読者の関心に近い返信を書いた人だ。速さは決め手にならない。決め手は、どれだけ的を射た内容か、だ。
LinkedInがこうした理由:コメント内の滞在時間が18%増えた
LinkedInは目的をはっきり語っている。フィードでタイムリーな議論を増やし、アプリ内でもっと人々が交流するようにすることだ。数字にも根拠がある。LinkedInの2026年第2四半期の報告によれば、コメントに費やされた時間は前年同期比で18%増えた。同じ期間のコンテンツ消費全体の伸びは10%。つまりコメントは、ほかのすべてより1.8倍速く伸びている。プラットフォームは、時間が伸びている場所に賭けているわけだ。
都合の悪い話もある。スタートアップのPangram Labsが、LinkedInの公開投稿57,000件を分析した。同社の推定では、2026年4月から6月にかけて、コメントの30%が完全にAIによって生成されていた。PangramはAI検出ツールを売っている会社なので、この数字は売り手の思惑を差し引いて見るべきだ。LinkedIn自身は正確な統計を出していない。Social Media Todayは、コメントの伸びのかなりの部分がまさにこうしたツールによるものだという可能性を指摘している。
では、この18%は誰の伸びなのか。どうやら一部は、互いに"シェアしていただきありがとうございます"と書き合うロボットのものらしい。ここから、今回の変更のもう半分が出てくる。
LinkedInはコメント欄のAIスロップをどう削っているか
AIスロップとは、AIがまとめて大量に生成した、考えも書き手も存在しない文章のことだ。LinkedInはこれと何カ月も前から戦っていて、コメント欄ではその歩みが段階的に見える。
- 2025年8月自動化ツールから投稿されたコメントの表示を抑制
- 2026年2月コメントのスパム対策を強化
- 2026年5月LinkedInがAIスロップの特徴を識別する学習を開始
- 2026年8月2日"AIスロップのようだ"という報告ボタンをテスト
- 2026年8月9日コメントを関連度でランキング
報告ボタンは、投稿やコメントの横にある3点メニューの中にある。LinkedInのプロダクト担当ディレクターHari Srinivasanは、こう説明した。AIスロップは定義が難しく、その定義も常に変わる。人々からの報告が、モデルの調整に役立つのだと。投稿者には、アナリティクスで非公開の表示が出ると約束された。どの投稿が読者に"本物らしくない"、あるいは"AIの助けを強く受けて書かれた"と判断されたかがわかる。Social Media Todayは、engagement pods、つまり参加者同士でいいねやコメントをし合う約束をしているグループへの対策についても別途報じている。
AIの利用が禁止されたわけではない。Srinivasanははっきり言っている。AIが考えを磨く助けになるなら、これからも使えばいい。本物かどうかを判断すべきなのは、間違えることもある検出ツールではなく、生身の人間だと。象徴的なのは、LinkedInが自社の生成AIまで縮小したことだ。以前は"enhance your post"という機能が投稿の下書きを書き換えていた。今はその代わりに校正機能があり、誤りは直すが書き手の声には手を付けない。Social Media Todayは、これをプラットフォームのAIツールがエンゲージメントを損ねていたことの無言の告白だと見ている。
さらに2点付け加えておく。2026年4月から、投稿者は認証済みアカウントの返信を上に固定できるようになった。LinkedInで本人確認を済ませたユーザーはすでに1億人を超えている。FINNは9月のまとめに"Platforms Trade Reach for Trust"というタイトルを付けた。プラットフォームはリーチを信頼と引き換えにしている、という意味だ。同社の見立てでは、LinkedInは生きた会話をランキングのシグナルとみなし、それを守ろうとしている。
LinkedInで今インプレッションを得られるのはどんなコメントか
LinkedInは2025年2月から、自分のコメントのインプレッション数を表示している。しかも自分の投稿でも他人の投稿でも見られる。つまりコメントは、以前から数えられる独立した単位になっていた。そして今、コメント専用のアルゴリズムができた。LinkedInの説明にある3つのシグナル、関心、つながり、アクティビティから、何が上に来やすいかが見えてくる。
- 自分の業界の投稿に、自分の専門分野について書いたコメント。同じ職業上の関心を持つ人に表示される。
- 自分のつながりが読んでいる場所に書いたコメント。つながりのシグナルは、読者が知っている相手に有利に働く。
- 中身のある返信。数字、仕事での実例、主張への反論。"素晴らしい投稿です"という一言は、まさにあの30%のボットが書くものであり、真っ先に報告ボタンの対象になる。
自動化サービスでコメントを量産してきた人には、耳の痛い話がある。2025年8月から、LinkedInはそうしたコメントの表示を抑制できるようになった。2026年8月からは、ボタン1つで報告できる。1日100件のテンプレート返信は、もはやリーチにはつながらず、アカウントの評判を傷つけるだけだ。
ChatGPTやPerplexityでの露出にLinkedInが重要な理由
ChatGPT Search、Perplexity、Google AI Modeは、質問に対して完成した文章で答え、どのページを参考にしたかを示す。2026年3月、SNS投稿スケジュール管理サービスのHeyOrcaがある調査を紹介した。LinkedInはこの3つのシステムにおける引用数で2位に入り、平均して回答の11%に登場するという。およそ9件に1件の割合だ。HeyOrcaは調査方法やサンプル数を示していないので、私ならこの数字は法則ではなく目安として扱う。
LinkedIn自身もこの方向に背中を押している。2026年2月、プラットフォームはAIチャットボット向けに投稿を最適化するためのアドバイスを公開した。2026年8月には、B2Bマーケター向けにAI検索での露出に関するプレイブックが出た。複雑なサービスを他社に売る企業にとって、構図はシンプルだ。買い手は、自分の課題を誰が解決してくれるかをAIに尋ねる。その答えは、LinkedInからも組み立てられる可能性がある。AIが投稿やプロフィールではなくコメントそのものを引用しているかどうかは、まだ誰も示していない。ただ、専門性のあるコメントは人をプロフィールに呼び込み、投稿のあるプロフィールはすでに回答に登場している。
2026年、LinkedInで投稿者やブランド向けに他に何が変わったか
- 共同投稿、2026年6月。1本の投稿を複数の共著者から同時に公開できる。さらにブランドのルールで、どんなコラボ依頼をそもそも受け付けるかを設定できる。
- パーソナライズされたおすすめフィード、2026年6月からテスト中。その前、2025年3月には、LinkedInはMy Networkタブをテストしていた。つながりとフォローしている相手のコンテンツだけを表示するものだ。
- 新しいフィードのアルゴリズム、2026年3月12日。何をどの順番で表示するかは、より高度なAIシステムが決めるようになった。
- ライブ配信、2026年4月。LinkedInはネイティブのライブ配信機能を廃止した。
- 投稿頻度。LinkedInは週2本から5本の投稿を推奨しており、そのうち1本か2本は動画にするよう勧めている。
BrandLinkについては混乱があるので別に書いておく。これはブランド向けの広告商品であって、投稿者が自分で有効にする収益化機能ではない。前身のWireは2024年6月に始まった。ブランドは、Bloomberg、Business Insider、Forbes、The Wall Street Journalの動画の前に流れる動画広告、いわゆるpre-rollに広告を出していた。2025年5月1日、WireはBrandLinkに名称を変え、選ばれたクリエイターの動画にも広告を流すようになった。こうしたクリエイターは広告収入の分配を受けるが、その割合をLinkedInは公表していない。2026年9月時点で、BrandLinkの対象拡大は行われていない。
やるべきこと
- 自分のコメントのアナリティクスを開き、この1カ月でどのコメントがインプレッションを集めたかを確認する。これが新しい並び順になる前の基準値になる。
- 自分の業界で、顧客が読んでいる投稿者を10人選ぶ。その人たちの投稿に、数字や仕事での実例を添えて的を射た返信を、週3回か4回書く。
- 自分の代わりにコメントするサービスは業務フローから外す。2026年8月以降、それはアカウントにとってマイナスに働く。
- プロフィールには週2本の投稿を続ける。コメントから来た人に読むものがあり、AI検索にも引用するものがあるようにするためだ。
- 業界にパートナーがいるなら、一緒に共同投稿を1本作り、どちらのオーディエンスがより強く反応するかを確かめる。

Anna
